TPOやマナーと聞くと、人によっては「面倒くさい、なんだか束縛される感じがして嫌」と思う方もいるかもしれません。
そういった方を、非難するつもりはありませんが、
TPOに合わせたマナーを無視し、場をわきまえない自分勝手なファッションをしている人を、ある一定以上の大人は魅力的とは思いません。
しかも、教養のない人、と思われてしまう可能性もあります。
また、視点を変えるとファッションのマナーは「自分の身を守る知恵」であり「魅力的な人を自分に引き寄せる力*」を持っています。
そして、ここが1番面白いところなのですが「ファッションの楽しみ方の幅が増える」可能性もあるのです。
そういった、ファッションのマナーを「ポジティブな視点」から、今回は書いてみたいと思います。
さて、前提としてファッションのマナーの重要度は、時と場合によって異なります。
わかりやすく言うのであれば、近所の公園やスーパーに行く時に守るべきマナーとは
「服を着ましょう」
ただそれだけです（笑）
裸で歩くと「公然わいせつ罪」となってしまいますからね（汗）
極論を言えば、多くの人が当たり前と思っている「外出する際に服を着るという行為」はマナーなのです。
しかも、法律でも定められています。
話が少しズレますが、法律とファッションの話でちょっと面白い話があります。
「軽犯罪法」の第20条には、体の露出に関しての法律に触れる項目があるのですが、
それは「お尻、もも、その他の身体の一部」を、極端に露出してはいけない、というものです。
こちらの条例は、昭和23年に制定された法律で、
当時「もも」を出して外出するなんてありえなかったため制定されました。
（第20条：公衆の目に触れるような場所で公衆にけん悪の情を催させるような仕方でしり、ももその他身体の一部をみだりに露出した者）
しかし、時代は変わり短いパンツやスカート姿で太ももを出して歩いても、誰も捕まることはありません。
つまり、マナーというものは、時代と共に変化することもあるのです。
では、変化しないマナーとはどういったものでしょうか。
それは、冠婚葬祭やドレスコードが指定されている場所です。
（注：あくまで基本の話です。時代によってマナーは変化することがあります）
また、組織のトップに立つ人の場合は、TPOを意識したファッションマナーは重要です。
ビジネスにおいては、ファッションの良し悪しが、売り上げに大きく影響することが往々にしてあるからです。
しかし、そう書いてしまうと、一般人の私には全く関係ない話だと思ってしまうかもしれません。
では、こうお伝えしたらどうでしょうか。
付け焼き刃の知識で話をする人と、知識に精通している人からの説明、どちらの人の話の方が、説得力があるでしょうか。
もちろん、説明のうまい下手はありますが、付け焼き刃の人よりも「知識に精通している人」からの話の方が、説得力がある可能性は高いはずです。
TPOを意識したファッションマナーも基本的には同じです。
知らなければ、いざという時にあたふたしてしまうでしょう。
10代や20代前半くらいの学生や、新卒の社会人であれば許されるかもしれませんが、20代後半からは本当の意味で大人になる時期です。
最初はわからなかったとしても、自分の状態と周りの状況を客観的に見ながら経験を積み、TPOに合わせたファッションのマナーを体得していくことで、自分の人生においてこういったルールには価値があった、恥をかかなくてすんだと感じる機会が必ず訪れるはずです。
これが、知識は自分の身を守るとお伝えしている理由です。
ここで、気をつけて欲しいのがマナーやTPOを意識するあまり「そのことに囚われてしまって身動きできなくなり、自分らしいファッションが楽しめなくなってしまっては意味がない」という点です。
あくまで、ファッションマナーとは、周りの人への配慮・礼儀であるということ。
ルールは、あくまで指針です。
前向きに捉えるのであれば、ルールを知ることで新しいファッションの幅を広げるチャンスを手にした、と思ってもらえれば良いかと思います。
長い人生、自分の普段のファッションでは、TPOとして好ましくない場所に行くこともあるでしょう。
そんな時は、今まで全く関心がなかったファッションの魅力に気づくチャンスと思えば良いのです。
ファッションを楽しむ時は、ぜひファッションのマナーも一緒に楽しみながら受け入れてみてください。
それがきっと、アナタの人生をより豊かに、そして楽しいものにしてくれるでしょう。
最後に、洋服のファッションマナーは複雑すぎて大変だと思う人は、ぜひ着物をファッションの一つに加えてみてください。
着物のマナーは複雑と思われがちですが、実はとてもシンプル。
柄に対して「格付け」がされているので、TPOに合わせたデザインの着物を選べば良いのです。
そして、遊び着の時は自由に遊べるのが着物の利点。
ひと昔し前は、友達とのお茶程度の集まりに訪問着（洋服でいうところの、パーティードレスのような格付けされたデザインの着物）で行くのはちょっと・・・、と言われた時期もありましたが、
近年は着物人口が減ったこともあり、ある程度自由にファッションとして楽しめるようになりました。
なかなか出番の少ない訪問着、タンスに肥やしにしておくくらいなら、
今日は遊び着として使うから気にしない。と割り切って着てあげた方が、着物もよっぽど生まれてきたかいがあるというものです。
ルールを知っているからこそ、ルールを逆手に楽しむことができる。
ぜひ、知識を利用して自分らしくファッションを楽しんでくださいね。
